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「パキスタンの民族衣装 -砂漠と山岳地帯の手仕事」
2014年9月4日 - 12月20日

 かつてのイギリス領インドは、第2次世界大戦終結の時、ヒンドゥー教徒の多い現インドと、イスラーム教徒が多数を占める現パキスタンに別れ、独立を果たしました。工業化におくれ、地形が辺鄙なため固有の文化がより長く残り、アジアで最も多彩な服装が残されていると云われています。日本ではあまり知られる事も少なかった国ですが、私はたまたま1970年代に、その西側のアフガニスタンを訪れていましたので、スワット地方の黒地にバラ色の素晴らしい刺繍のドレスをパキスタンのものとも知らずに購入していました。その後、ソ連邦のアフガン侵攻がはじまりアフガン行きはあきらめましたが、アフガン人の多くがパキスタンにのがれ、国境の街ペシャワールにはアフガン商人の店ができ、それから10年間パキスタン各地を訪ね歩きました。
 パキスタンのシンド地方は教科書で習った通り、インダス文明発祥の地として知られ今でもモヘンジョダロの遺跡には小さな美術館があり、出土した品々が展示されていますが、BC2500年 既に針を持ち茜や藍を使った痕跡が残され、まさに文明揺籃の地でした。最初に訪れたシンド沙漠は砂にうずもれた小村が今でも点在し、色褪せた服装の中にかつての栄光が見られました。パンジャーブ州の豊かな土地は木綿産業に適し、木綿に絹糸で一面に刺された美しいフルカリと呼ばれるベールは庶民の手で作られました。不毛の沙漠に生きてきたバローチ族は砂嵐や雨水も通さない密度の高い、端正なキリムやドンキーバックを作りました。彼らの気概を感じさせます。北西辺境州の山岳地帯には、暗い色彩に華やかな絹糸やビーズを使ったドレス。たっぷりとした襞の数が500もあるコヒスタンの祭りの衣装など、ユニークな衣装が必見です。