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衣の原点 - 南太平洋諸島の樹皮布、編布など」
2017年11月30日 -2018年3月17日

 今回は、染色家で織物以前の布を求めて十数回に渡り、南太平洋諸島を探査した福本繁樹氏の「織物以前 ——タパとフェルト」展が京橋のLIXILギャラリーで企画され、当館でもリンクした展示はどうかと提案されたことに始まった。1984年、日本民藝館で初めて見たパンダヌス[表紙]の衝撃を忘れずに持ち続けていたこともあり即断し、展示の半分は福本氏の御好意で拝借したものが並ぶ。

 パンダヌスの制作風景を読ませて頂くと、この巨大なゴザの様な編布は、村中の人々が総出で、まるでピクニックかお祭り騒ぎの中で作られていく。料理を作る人、指揮をとる人、それぞれの持ち場で手を貸す人、このセセと呼ばれる婚資や儀礼に使われる布は皆の心を一つにする。やがてバナナの内皮に刻まれた型で遠い先祖から受け継がれた文様を散りばめ、茜色に染められていく。贈られた後は小屋の中にひっそりと積み上げられ、煤にまみれて実用に使われることもないが、パンダヌス作りの工程の全てが、物作りの原点の喜びを伝えてくれる。

岩立 広子